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カスタマージャーニーの教科書 序章 はじめに

カスタマージャーニーNAVIを提供、運営している(株)コレクシアは、消費者行動図鑑という、消費者の行動プロセスや意思決定プロセスをモデリング、可視化、分析するサービスを展開しています。これまで様々な業界で、数百から千近いパターンのカスタマージャーニーを扱ってきました。

カスタマージャーニーという考え方の機運が高まる一方、カスタマージャーニーマップの作り方はあっても、「使い方」を体系的に解説した書籍やWebコンテンツが不足しています。あっても思考ツール、UXツールとしての使い方がほとんどで、マーケティング戦略としての使い方を解説しているものはなかなか見当たりません。ましてやカスタマージャーニーの「創り方」に至っては、体系的に解説どころか相当誤解されています。

そこで、消費者行動図鑑で蓄積した知見やノウハウを元に、カスタマージャーニーをマーケティング戦略として使えるツールとする為、書かれたのが「カスタマージャーニーの教科書」です。メインコンテンツに入る前に、私共が本コンテンツ及びサービスを開発、提供するに至った背景や問題意識、ビジョンを少し紹介させて下さい。

データから戦略と施策を”生成”する~ データを使って、誰もが変化を生み出せる道具の開発

カスタマージャーニーNAVIは、カスタマージャーニーを軸としてビジネスゴールを達成する事に特化したサービス及びプラットフォームを提供しています。カスタマージャーニーNAVIにはもう1つ、裏テーマがあります。それは、「データを使って、誰もが変化を生み出せる道具」を提供する事です。ビジネスの課題解決にしろ、イノベーションにしろ、誰もが簡単にできるものではありません。何かしらのアイディアを持っていても、それを実現して、0から1を生み出すのは難しい事です。そこで、より多くのアイディアが形になり、より多くの課題が解決される為に、我々ができる事を考えた末にたどり着いたのが、「データを使って、より多くのビジネスパーソンが課題解決のアイディアやイノベーションを実現できる仕組みを作れないか」というミッションでした。

課題解決もイノベーションも、アイディアだけでは足りません。アイディアが変化を起こし、より良い結果がもたらされるまでのプロセスが要ります。アイディアを持つ事は簡単です。アイディアを実現して狙った変化やより良い結果をもたらすのは難しいです。人はアイディアを直接的に評価しません。人はアイディアが長い道のりを経て具現化された「結果」のみを見ます。そしてその結果がどれ位「良い事か」から逆算して、アイディアがはじめて評価されます。従って、アイディアが実際の変化(良い事)として形になるように、誰かがそのプロセスを設計、管理しなければいけません。それは例えば子育てなら親、学校なら先生、レストランならシェフ、スポーツならコーチです。ビジネスではこのプロセスは「戦略」に該当します。良い変化とは顧客にとっては生活の質の向上、企業にとっては売上や利益です。

プロセスを設計し、良い変化が生まれるまでのプロセスを管理する。ここを仕組み化できれば、より多くのアイディアを結実させる事ができるでしょう。弊社は、元々データサイエンスの会社です。そこでデータとデータを処理するアルゴリズム、インターフェースを工夫して、その仕組みを作れないかということで、試行錯誤の末に、カスタマージャーニーという考え方を軸に、マーケティング領域でデータを使って変化を創造する道具を完成させました。それがカスタマージャーニーマネジメントシステム【ネイピア】と、解析アルゴリズム【Napierglyph】です。この道具は、「データからマーケティング戦略と施策を生成」します。より具体的には、現状のカスタマージャーニーを診断し、ブランドが今後目指すべきカスタマージャーニー、それを実現する為のブランド体験と施策、及びその基となるアイディア(インサイト、価値提案、ストーリー、コンテンツ、メディアプラン)を一気通貫で生成します。データドリブンでこれらを行う事で、アイディアがカスタマージャーニーをどう変化させ、その結果生活者へどんな価値を提供できて、ビジネス上の価値に繋がるか、も予測可能となります。

カスタマージャーニーNAVIでは、データが戦略立案を支援するのではなく、データが戦略立案します。データドリブンで戦略立案をしようというのではありません。むしろ戦略や施策がデータからemerge(浮上)して、生成されるイメージです。元来、データは戦略や施策立案の為の1つの部品でした。しかし、現代の多様化・複雑化した顧客に向けたマーケティング戦略は、既存の枠組みにあてはめて立案・実行していればOKというものではありません。モノ/ヒト/コト/トキ全てを考慮して、戦略や施策を都度最適化していくべきです。現状のカスタマージャーニーとブランドゴールに対して最適化されたOne to Oneの戦略や施策がデータから都度生成される仕組みがあれば、顧客の今の生活実態に一番即した変化をもたらし、ブランドと顧客の関係性を常に最適化していく事が可能となります。これがデータで戦略生成するというアプローチが提供する、最大のメリットです。

現在はマーケティングという領域に限られた道具ですが、今後様々なビジネス領域に応用、拡大していく予定です。データを上手く使う事で、より多くの人にとって課題解決やイノベーションがより身近になり、より多くのアイディアが形になって、より多くの価値が社会に生まれるお手伝いをしていきたいと思います。

クリエイティブデータ – データでクリエイティブをどれだけ支援できるか

(株)コレクシア代表の村山は情報デザインを専門にしており、その一環で人工知能系の研究にも少し携わっていました。AIがトップクリエイターと同じ感性を持ち、人間のクリエイティビティが必要なくなる時代はもう少し先になると思いますが、このカスタマージャーニーNAVIでは、「データでクリエイティブをどれだけ支援できるか」というクリエイティブデータの領域にも踏み込んでいきたいと思っています。例えば、以下のようなチャレンジです。

 ●コピーは言葉で商品の価値をターゲットに対して最大化します。それをデータドリブンで出来たら?
 ●現状の認識をブランドにとって有利な認識に変える為に、価値提案をする。その変化のドライバーをデータ探索してランキングできたら?
 ●クリエイティブで語り伝えるべきストーリーを、自然言語データからデータドリブンで作成できたら?
 ●コンテンツの内容を自動生成する、コンテンツオートメーションができたら?
 ●顧客接点での情報との接触順、媒体と情報の組み合わせを最適化できたら?

データドリブンに行うメリットは、スピード、数値的な根拠、属人的な能力や才能に依るクオリティのバラつきを、仕組み化する事である程度標準化できる、という点だと思います。クリエイティビティの話なので、「どこまでできるか」という問題に加え、「どこまですべきか」という問題もあります。このあたりは、どうデータがクリエイティビティを支援していくべきなのか、どういう相互作用関係を作っていけるのか、模索していきたいと思っています。

それでは、「カスタマージャーニーの教科書」~カスタマージャーニーを活用したマーケティング戦略入門 をご覧ください。カスタマージャーニーをベースとした戦略構築・施策開発のノウハウを、概論から各論の順で解説していますので、最初から順にお読み頂くとスムーズに理解して頂けるかと思います。

1章​ カスタマージャーニーで考える意味と価値>


カスタマージャーニーの教科書 目次

序章​はじめに

1章​カスタマージャーニーで考える意味と価値

2章​カスタマージャーニーの利用範囲、応用領域

3章​カスタマージャーニーの定義、及び類似概念との相違点、注意点について

4章​データドリブンでカスタマージャーニーマップを作成する

5章​カスタマージャーニー設計におけるゴール設定 – 成果指標と中間指標(KGI、CSF、KPI)

6章​カスタマージャーニーベースのインサイト探索と価値算定

7章​ブランドが目指すべきカスタマージャーニーの設計と認識変化

8章​ブランド体験デザイン ブランドが果たすべき役割と体験価値の設計

9章​リテンションデザイン 顧客の離反、流出、競合スイッチ防止

10章​ストーリーデザイン 行動を生む情報価値の設計とストーリー開発

11章​メディアプランデザイン カスタマージャーニーに寄り添う媒体計画

12章​カスタマージャーニー視点で検証する広告効果と費用対効果

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