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費用対効果と投資対効果の違い

費用対効果と投資対効果の違い

 ROIは[リターン/コスト]の比で表され、一般的に「いくら投資して、いくら儲かったのか」を表す指標として広く解釈されます。これは金融的な投資も広告投資も同じです。しかし広告投資の場合、広告の目的やROIを計算しようとしている背景、媒体の特性などにより「どこまでをリターンとして期待し、どこまでをコストとして考慮するべきか」が異なる為、適切な意味合いを持ったROIを立式する必要があります。広告やプロモーションで扱うROIは、基本的に以下の2つ大別されます。

費用対効果:

出稿期間中に即時的に発揮され、出稿終了に伴い速やかに減衰もしくは消滅する効果(短期的な効果)に対するROI

投資対効果: 

短期的な効果と、出稿終了後も中長期に渡って発揮され比較的緩やかに減衰していく効果(長期的な効果)を合わせたROI

費用対効果と投資対効果、どう使いわけるのか?

 ROIを費用対効果で見るべきか投資対効果で見るべきかは、広告の「目的」と、想定される「効果の質」で判断します。つまり「広告目的を達成する為に、どの媒体でどんな効果を狙っているのか?」という広告戦略における目的を与件として、「その効果は短期的なのか、長期的なのか?」を決定するという順を辿ります。

 例えば新製品の認知を即時的に上げる事を目的として新聞広告を打ったなら費用対効果ですし、ブランドの信頼性や安心感を醸成する事を目的として打ったなら投資対効果で見るべきです。つまり、「どのような評価基準でみるべきかは、広告のゴールから天下り式に決まる」という事です。

 媒体の特性も判断基準にはなりますが、決定的ではありません。インターネット広告は費用対効果で、マス媒体は投資対効果で見るの様に、安易に決めつけるのは危険です。例えばリスティング広告やバナー広告などのWeb広告、店頭プロモーションなどは費用対効果で見られる事が多いかと思います。それは、Webへの出稿や山積みを止めれば、バナーをクリックしたり山積みワゴンから手に取ったりという直接的な購買寄与が無くなるからです。

 しかしそれらと接触した事によるブランド体験から生まれた好意やレレバンス、親近感などの効果は必ずしもすぐ消滅するとは限りません。従ってリスティング広告やプロモーションの目的の中に、それら中長期的なブランド育成や顧客とのリレーション強化の様なゴールが含まれているのなら、ネット広告やプロモーションと言えども、費用対効果だけ見れば十分とは必ずしも言い切れないわけです。

ソーシャルメディアは費用対効果?投資対効果?

 ソーシャルメディアやオウンドメディアを用いたキャンペーンのROIを見るときは、既に存在する潜在的なロイヤルユーザーの数に注意する必要があります。ソーシャルでも短期・即時的な効果は発現します。特に、そもそものロイヤル顧客、つまりファンが多ければ多いほどその傾向は強くなります。Top of Mindクラスのブランドになれば、ソーシャルでも認知拡大や集客に対してマス媒体並みの効果を持つケースもあります。この様な場合は、費用対効果で見てOKでしょう。

 しかし基本的には、ソーシャルはブランドを育成したり、中長期的に顧客との関係を維持・強化する効果をメインで狙う事が多いと思います。つまり「ファン」になってもらう事を1つのゴールとして、ソーシャルキャンペーンを仕掛けるわけです。その為、非ロイヤルユーザーがロイヤルユーザーになる経時的なプロセスを踏まえた投資対効果を見ないと、ROIが過小評価になる可能性があります。

戦略との整合性:ROIが広告効果指標として機能するために

 いずれにせよ、ROIを算出する際には「どんな効果のROIを算出するのか」を上流の経営戦略やマーケティング戦略、広告戦略に照らし合わせて設定する事が肝となります。上流の経営戦略が即時的な効果を必要としている時、例えば集客数や売上のテコ入れ、とにかく新製品を一度トライアルしてもらうという時に、ブランドイメージの向上に対するROIを算出しても仕方ありません。逆に、消費者との関係性構築やリレーションの維持など、ブランディングを重視した広告に対して、直近の購買意欲が上がった下がったという費用対効果を算出しても、近視眼的な分析として一蹴される可能性があります。

 戦略と整合性のとれていない評価指標は意味が無いばかりか、意思決定をミスリードする原因となるため注意が必要です。そして広告目的に対して適切な意味合いをROIに持たせる事は、費用対効果および投資対効果を計算する「立式」と密接に関係します。この事を踏まえて次のエントリーからは、費用対効果、投資対効果の立式とその中身をみていきたいと思います。

⇒次ページ「費用対効果の立式」はこちら

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