Collexia

感覚構造分析

消費者の感覚的な価値判断と、感動や購買行動との繋がりを可視化

消費者の感覚的な価値判断や購買行動をグラフ化(1サンプルから実施可能)

Q 最近の消費者は直感や感覚で買う物を選んでいる様で、製品を開発する側としては、結局何に力を入れたら良いか見えず困っています。良い方法はないですか?

デジタルカメラの製品開発をしています。最近の消費者はスペックの数値や機能で商品を選んでいるというより、自分に合う商品を感覚的に選んでいるかのように感じています。デプスインタビューやエスノグラフィーなどをやってはいるのですが、定性的な手法だけでは消費者の感覚的な行動の因果関係がはっきりせず、解釈がメンバーによってばらばらで、どこに力を入れて開発すれば消費者の感性に刺さるのか、社内で意見が統一出来ず困っています。うまく消費者の感覚的な行動を理解・共有する方法はないでしょうか。

A 消費者の頭の中の「なんとなく自分の感覚に合う」という価値判断と行動を解析的に可視化しましょう。何を満たせば、自分の感覚に合うと感じ、購買されるのかの因果関係を明らかにして、開発のKSF(キーサクセスファクター)とその道筋を把握・共有ができます。

デマテルという手法を用いることで、消費者が「なんとなく自分の感覚に合う」と感じているのは「製品の何が原因になり、それがどういう嬉しさや欲求に訴求して、購買意欲や実際の購買行動に繋がっているか」というストーリーを有向グラフで表現する事ができます。その有向グラフの中で、「購買意欲や購買行動に最も強く繋がっている要素は何か、どういう道筋なのか」を見つけることで、開発を行う上で押さえなければならないKSF(キーサクセスファクター)を把握・共有できます。

マーケティング現場の事情と課題

デマテル法のメリットを挙げると、大きく以下の3点が挙げられます。

 1.「なんか自分の感覚に合う」「うまく言えないけどこっちの方が好き」等の消費者の感覚的な評価や価値判断を可視化して、それを満たす為の具体的な製品やサービス要件に落とし込める。
 2.マーケティング戦略の原因(製品やサービスの要件)と結果(ターゲットのニーズが満たされるか、購買行動を起こすか)を直接調査・分析して、繋がりの道筋を可視化できる。
 3.n=1からでも解析的に有向グラフを作成できる上に、因果関係の解釈がしやすい。

このデマテル法で解決出来る課題の一つに、KSF(キーサクセスファクター)の発見があります。マーケティング戦略の成功を左右する重要なドライバー要因を、KSFと言います。それを測定可能な指標に落とし込んだものがKPI(キーパフォーマンスインディケーター)です。良いKPIを策定するには、マーケティング戦略のゴールに本当に繋がる意味のあるKSFを基に作られている事が大切です。その為には、企業側のマーケティングゴールが、ユーザー側のコンテクストやストーリーの中ではどのような道筋を経て達成されるのか、を知る必要があります。そうでないと企業の独りよがりのKPIが策定される可能性が高くなるからです。

デマテルは、戦略のゴールとなる”ユーザーの購買行動”や”消費者の感動”までの道筋を、原因と結果に分けて、1枚の有向グラフとして出力します。言い換えると、このグラフはユーザーシナリオを1枚のグラフとして見える化したものですので、ゴールまでの導線を視覚的に読み取る事が可能です。従って、ゴールに連なる太い道筋上にある要因がKSFとして浮上し、それらをアンケートや定量調査などで測定することで、ユーザーシナリオからKSFを効率よく抽出し、ブレのないKPIの測定を行う事が可能となります。

このほかにもデマテルでは、成功/失敗要因の分析や、インサイト-プロポジション-ポジショニング間の一貫性の検証、キャンペーン・イベントプランニングの為のデマテルなど、様々なシーンで活用できます。

分析のゴール

製品やサービスに対する、消費者の感覚的な価値判断と購買行動のストーリーを有向グラフで表現し、KSFと訴求の道筋を発見する

分析のロジック

1.構造に含まれる変数を抽出する
  製品要件側の機能項目と、消費者側のニーズ項目に分け、デマテルグラフに載せる変数を予め抽出し、調査項目を作成する。

2.調査票を作成し、データを回収する(n=1から可能)
  抽出した調査項目から、解析に必要な質問の組み合わせを選択し、具体的な質問形式にして回答データを得る。

3.結果をグラフ化しKSFを見つける
 変数間の因果関係を有向グラフで出力します。矢印のつながり方と方向、パスの太さから、「なんとなく自分の感覚に合う」の原因から「具体的な意欲・行動」という結果までの過程をグラフで可視化し、KSFを見つけ出します。

アウトプットと解釈

デマテル法を用いることで、要素間のつながりの強さが算出されます。それをグラフ化することで、上のグラフのように表現できます。このグラフでは、カメラのどの製品要件から、どのような過程を経て満足を得られるのかが表現されています。また、図では省略していますが、各要素間には繋がりの強さの数値が算出されるので、繋がりが強いパス・弱いパスを判断できます。 

このグラフからは、大きく3つのことが読み取れます。

 1.因果関係の「原因」に近い項目と、「結果」に近い項目の順序
 2.要素間の因果関係の強さ
 3. 消費者の感覚的な価値判断と購買行動のストーリー

まずグラフの全体を見ると、左側にはカメラの「機能」に関する項目があり、そこから矢印が「消費者ニーズ」の項目に刺さり、最後に「満足」にたどり着いています。このグラフからは、「機能」が原因となって、いくつかのニーズを満たし、結果「満足」を感じるという、消費者の感覚的な価値判断と購買行動のストーリーを示しています。さらに、それぞれの矢印の強さが解析によって算出されており、矢印の色や太さ、具体的な数値で示すことが可能です。

上のグラフから繋がりの強いストーリーを読み解くと、以下の様な解釈となります。

【製品がニーズを満たし、満足させるまでの流れ】(図上の、赤で強調された経路)
“手ぶれ補正”・”顔認識機能”→”一発できれいに撮影したい”→”気軽に写真を楽しみたい”→”カメラに満足できそう”

【ストーリー(流れの解釈)】
「手ぶれ補正や顔認識機能があることで、きれいな写真が一発で撮影でき、気軽に写真撮影を楽しめるので、カメラに満足できる」

以上のように、製品要件から目的変数までの過程を解析的にグラフ化し、その構造の流れを読み解くことで、消費者の感覚的な価値判断や、購買行動をストーリーで理解できるため、製品への「満足」といった企業側のマーケティングゴールが、ユーザー側のコンテクストやストーリーの中ではどのような道筋を経て達成されるのかが明らかになります。

さらに、この構造の中で他のパスへの影響が強い項目や多くの項目へ影響を与えている項目を探索することで、KSFとなる項目を把握することができ、そのKSFが重要である背景(グラフで表現されたストーリー)も合わせて理解することができます。

コンタクトポイントの選択と編成「購買行動を起こさせる」

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