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ROI入門 Chapter3-2 ROIの意味

一般的なROIの意味

まず一般的にROIとは何か、次にマーケティングROIとは何か、を俯瞰してから、広告のROIを説明します。一般的にROIとは「利益/投資×100」で表される%です。例えばメーカーが何らかの投資のROIを求めたい場合、その投資をXとすると、ROIは

 ROI= [売上 – 売上原価 – Xの投資額]÷[Xの投資額]

で計算されます。売上原価は、ざっくり言えば商材を作るのにかかったコストです。そもそもメーカーならモノを作らないと商売にならないので、投資X以前にその費用がかかっているわけですから、まず売上から減じておく必要があります。つまり粗利です。粗利から投資額を引いて利益を出し、その投資額で割ったものが、一般的にROIと言われる指標です。

マーケティングROIの意味

さてマーケティング投資のROIを算出する場合には、この粗利から更に販売を実現する為にかかる費用を差し引いた額を、マーケティング投資額で割ります。マーケティング投資とは、例えば新製品キャンペーンを打ったなら、そのキャンペーンにかかった費用の総額です。

 ROI= [売上 – 売上原価 – 販管費(※1) – マーケティング投資]÷[マーケティング投資]

※1 ただし、マーケティングやキャンペーンに関わる費用は除く

何故粗利から更に販管費を引くかと言うと、それが”投資”ではないからです。例えばメーカーであれば、原料を仕入れて、工場で生産し、小売りチャネルに配送しなければ、マーケティング投資をするしない以前に販売になりません。これらのコストは、どちらにしろ製品を販売する為に最低限必要な、デフォルトでかかる「費用」です。

それに対して、プロモーション等のマーケティング施策にかかるコストは、ベースライン(マーケ施策を何もしない)状態から販売をブーストする為の、つまり、”売上が立たなければ無駄になるかもしれない”というリスクにさらされた、不確実性を伴う「投資」です。

ROIは投資の収益率ですので、本質的に、「リスクにさらされる不確実なコストと、そのリスクテイキングによってのみ生まれたリターンの比」という意味を持ちます。従って、固定でかかる費用は、リスクテイキングによって生まれたリターンを算出する為に粗利から引きましょう、というのが上の式のアイディアです。ただし厳密に何が費用で何が投資か、という線引きは会社や業界によって異なりますし、詳細の科目についてはケースバイケースで考える必要があります。

広告のROIの意味

では広告のROIはどう算出するかというと、広告投資というリスクテイクをしたおかげで儲かった利益と、その広告投資額の比を求めます。つまり

 ROI= [広告由来の利益 – 広告費用]÷広告費用

となります。上の2式と基本的な考え方は同じなので式の途中は省略していますが、要は広告由来の売上から広告以外のマーケティング投資や製造販売にかかる費用を抜いた、「純粋に広告にのみ由来する利益」を求めて、広告費用で割ります。しかし、ここで何点か問題が出てきます。

  1. 利益計算が必要
  2. 利益は広告以外の費用科目に左右される
  3. 広告から将来的に生まれるキャッシュフローは入れなくてよいのか?
  4. そもそも広告由来の売上をどう求めるのか?(※2)

次のエントリーでは、これらの視点から費用対効果を利益ベースで考える事と、売上ベースで考える事のメリットデメリットについて説明しています。また、ROIと類似の指標ROASについての解釈と、ROIの誤用について説明します。

※2「4. 広告由来の売上をどう求めるのか?」については、「広告寄与の算出」で説明します。更新は次々回を予定しています。

⇒次ページ「リターンを利益で見るか、売上で見るか?」はこちら

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